壁紙にはどんな種類がある?

壁紙は裏紙と呼ばれる紙に主素材を貼り付けた構成になっています。主素材には「塩化ビニル樹脂」「オレフィン樹脂」「織物(布)」「紙」などがあります。

ビニルクロスとは?

ビニルクロスと呼ばれている壁紙は、その主素材が塩化ビニル樹脂であるものです。いまわが国で使われている壁紙のほとんどがこのビニルクロスです。ビニルクロスがよく使われる理由は、まず値段が安いこと。また様々な模様がつけやすいことや均一な製品ができること、汚れが拭きやすいということなども理由になっていると思われます。つまりこのあたりがビニルクロスの長所だということになります。

ビニルクロスの欠点は?

ビニルクロスの最大の欠点は「含まれる化学物質の種類が多い」というところにあります。塩化ビニルのモノマー自体も問題がありますが、その中でも「可塑剤」と呼ばれるものが厄介です。可塑剤は塩化ビニル樹脂を柔らかくするために添加されるもので、フタル酸エステル類と呼ばれる物質がよく使われます。

2003年6月現在、厚生労働省の室内濃度指針値物質にも、DBP(フタル酸ジ-n-ブチル)とDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)という2つのフタル酸エステル類が指定されています。ビニルクロスはこの可塑剤が抜けてしまうとパリパリになり、はがれやすくなります。逆に言えば、パリパリの壁紙になるまでに可塑剤が発散することになるわけです。

可塑剤以外にもビニルクロスには様々な化学物質が含まれており、平均的にはビニルクロスがもっとも化学物質が大量に発散してくる壁紙であることがわかっています

DBPやDEHPを使っていなければ安心か?

最近のビニルクロスに使われる可塑剤はDBPからDEHPやDINPと呼ばれるものに移行してきています。少し難しい話になりますが、この理由は「沸点が高く、発散しにくい可塑剤にしていく」という業界の姿勢だと思われます。

この姿勢は喜ばしいものですが、最近になって、可塑剤が分解し、その化学物質がシックハウスの原因になったといわれる事件がありました。つまり発散しにくい可塑剤を使っても、こうした問題が起きる可能性があるわけです。

オレフィン樹脂壁紙とは?

塩化ビニル樹脂がダイオキシン発生の原因になると騒がれたことで、ビニルクロスと同じような長所を持った別の素材の壁紙が求められるようになり、生まれたのが主素材にオレフィン樹脂を使った壁紙です。オレフィン樹脂とはポリエチレン、ポリプロピレンの2つの合成樹脂を指します。

オレフィン樹脂壁紙はビニルクロスと同様に「均一性がある」「様々な模様がつけられる」「汚れが拭きやすい」などの長所を持っています。化学物質の発散量については平均的にはビニルクロスよりも少ないようですが、織物などの自然素材壁紙に比べると多い、というのが現状のようです。

紙壁紙や織物壁紙は大丈夫?

主素材に紙を使っているのが紙壁紙です。また主素材に織物(布)を使っているのが織物壁紙です。こうした壁紙は自然素材壁紙と呼ばれて安全な壁紙として注目を集め、多くの製品が発売されています。

ただ、こうした自然素材壁紙の中にも「難燃剤」や「防カビ剤」が使われているものが多くあります。また紙壁紙の中には化学物質がたくさん発散されるものがあることがわかっています。この理由は不明ですが、こうした薬剤が含まれていることや、紙壁紙として売られていても、塩化ビニル樹脂が含まれているものがあることが原因ではないかと思われます。

ビニルクロスやオレフィン壁紙にも難燃剤や防カビ剤が使われている?

もちろんこうした壁紙にも難燃剤や防カビ剤が使われています。難燃剤は防火上の内装制限を受ける場所に使う壁紙には必要になってきますが、一戸建て住宅の居間や寝室は内装制限を受けません。つまり、いまのほとんどの壁紙は集合住宅やオフィスビル、公共施設などの大規模建築物に合わせた内容になっているわけです。難燃剤がどれだけ体に影響を与えるかはまだ明らかになっていませんが、化学物質であることは間違いないことです。

一戸建て住宅にはほとんど必要のない化学物質を含んだ壁紙を選ぶ理由はないと思います。

防カビ剤は必要?

とくに集合住宅などのコンクリート住宅の場合、コンクリートが乾くまでに時間がかかり、コンクリートから湿気が出てきます。ビニルクロスは湿気を通しにくいため、その裏側で結露を起こし、そこでカビが生えやすい状態になります。壁紙(ビニルクロス)に防カビ剤が使われるようになったのは、こうした建物でカビが発生したのが理由だと思われます。

一戸建て住宅ではこうした状態になりにくく、よほど室内の湿度が高くなるような暮らし方をしない限り壁紙にカビが生えることはありません。自然素材壁紙であれば、壁の中から出てくる湿気を通すのでさらにカビは生えにくくなります。

自然素材壁紙は汚れが取りにくい?

ビニルクロスやオレフィン壁紙、また最近出てきた「汚れ防止フィルム」を表面に貼った壁紙に比べれば、確かに紙壁紙や織物壁紙は汚れがつきやすく、その汚れも取りにくいと言えます。

ただ、実際のところ壁紙に汚れがつく場所は限られています。キッチンまわりや電気スイッチの周辺くらいでしょう。キッチンまわりはそもそも内装制限がかかる場所であり、防火認定を受けた壁紙でなければ使えません。また電気スイッチの周辺は木や色の濃い紙などを貼れば済む話です。子供の落書きはビニルクロスでも取れません。

自然素材壁紙には他にどんな短所がある?

ビニルクロスやオレフィン樹脂壁紙の長所にあたるところが自然素材壁紙の短所になります。まずは均一性が低いところです。自然素材を加工したものはどうしてもバラツキが出てきます。また模様や柄をつけるのが難しく、無地の壁紙がほとんどです。ビニルクロスに比べて目地が少し目立つのも短所として挙げるべきかもしれません。

こうした短所が我慢できそうかどうかは、節のある木材に違和感があるかどうかで判断していただくのが適切だと思います。もし節のあるムク板を床に使うことに問題がないと思われる方であれば、自然素材壁紙のこうした短所はおそらく気にはならないでしょう。

自然素材壁紙は高い?

自然素材壁紙を選ぶ際の最大のネックがこの値段かもしれません。確かに大量生産が可能なビニルクロスに比べ、どうしても割高になります。

この金額アップ分をどう考えるかはみなさまの考え方次第ですが、健康的な室内環境にしたいということを優先的に考えておられるなら、室内にもっとも影響がある内装材に少しはお金をかけるのが賢い選択だと思います。

ここからは具体的な木創オリジナル壁紙についてのご説明になります。

木創オリジナル壁紙はどういう考え方でつくられている?

まずは「不要な化学物質を入れない」というのが基本姿勢です。ここまでご説明してきたように、難燃剤や防カビ剤は不要な化学物質であると考え、こうしたものを添加していません。これはシックハウス問題とともに、広い範囲の化学物質汚染のことを考えても、製造者にとって必要な姿勢であると思っています。

また、合成樹脂を主素材にした壁紙よりも製造エネルギーは小さいはずです。石油製品に頼らない社会を目指すためにも、自然素材の活用を考えたいと思ってつくりました。

さらに、当社の近くの地域は織物壁紙や織物のふすま材料の産地として存在してきました。石油製品全盛の流れの中で、こうした地場産業が元気になるお手伝いが少しでもできればと考えたことも、この製品をつくる大きな原動力になっています。

木創オリジナル壁紙の実績は?

1994年の発売以来、50万メートル以上の販売実績があります。そして当社としてとてもうれしいのは、この間、一度もシックハウスの原因になったと言われていないことです。不要な化学物質を入れず、また段階的にいくつかの改良を加えてきたことがこうした実績として現れていると思っています。

木創オーガニックコットン壁紙の特徴は?

上記のように、木創オリジナル壁紙はシックハウスの原因に極めてなりにくい製品だと考えていますが、さらに化学物質について厳密に考えたいと思われる方のためにつくっているのがこの壁紙です。綿花の栽培には一切の農薬を使わず、その後の製造過程においても一切の化学物質を添加していない綿糸を主素材として使っています。

主素材と裏紙とをくっつける接着剤はどんなもの?

水性の酢酸ビニル系合成樹脂接着剤を使用しています。本来であればすべての素材を自然素材系のものにしたいところですが、残念ながら現在のところ主素材のハガレを防止するための適切な自然素材系の接着剤が見当たらないのです。ただし、化学物質の問題をできる限り少なくする努力をしており、その努力が実績に反映されていると考えています。

値段は高い?

一般的な織物壁紙は壁紙の中でもっとも値段が高いものですが、当社は木創オリジナル壁紙を「よいものだけどすごく値段が高くて使いにくいもの」にしたくないと思い、流通や素材の選び方を考え、みなさまに手に入りやすい価格にしています。

また一般的な壁紙は素材の価格が不明確なものが多く、壁紙の価値がユーザーにわかりにくい状況です。情報公開の流れにも合っていません。当社では木創オリジナル壁紙の価値を知っていただくために素材だけの価格を明示しています

なお、ビニルクロスに比べ織物壁紙は施工する職人さんの手間がかかります。そういう意味で施工費はビニルクロスの場合に比べ少し高くなります。

ホルムアルデヒド等級「F☆☆☆☆

新しい建築基準法にも適合している?

木創オリジナル壁紙はホルムアルデヒド等級「F☆☆☆☆」(大臣認定番号第MFN-0181号)の適合品であり、面積制限を受けずに使えるものです。

ただ、新しい建築基準法はホルムアルデヒドの規制しか行っていません(正確には防蟻剤であるクロルピリホスも規制の対象です)。木創オリジナル壁紙はホルムアルデヒドの発散量が極めて少ないことに加え、「できる限り化学物質を排除する」という姿勢でつくられています。ちなみにこの製品のホルムアルデヒド発散量はムク板から出てくる量と同程度もしくはそれ以下であると判断してよい量です。

新しい建築基準法に適合する壁紙をお探しの方はもちろん、建築基準法のレベルに満足せず、さらに化学物質に配慮した住まいづくりをお考えになられている方にはご満足いただける製品であると考えています。