内装材として化学物質を含まない無垢の木材がよいと考えます。木材の利点といいますと調湿です。調湿は広葉樹よりも針葉樹の方が優れており、針葉樹の中でも柔らかい杉のような吸放湿性や透湿性の高い材料が調湿には優れています。また木材は熱伝導率が金属や樹脂に比べて低く、断熱性能もあります。ただし、杉のように調湿性や断熱性に優れている事は、反面木が柔らかいから表面が傷つき汚れやすいので、汚れるのが気になる方は天然系塗料などを塗り保護することも必要でしょう。しかし、塗料等を塗ることにより本来の性能が低下することもあります。

また、木材は自然の木目という人工的にはまねの出来ないデザインのすばらしさや、精神的に落ち着かされる効果が大きいのではないでしょうか。

我が国内では、従来から内装材として杉や檜等の針葉樹が使われてきました。最近では広葉樹の羽目板や外国産のものも流通しています。傷のつきにくい材料を好みの方は、調湿などの性能は杉や檜等の針葉樹に比べ落ちますが、楢やぶな等の広葉樹を使えばよいと考えます。針葉樹と広葉樹の違いは触れてみればすぐわかります。暖かいのが針葉樹で冷たいのが広葉樹です。

材料を選択するのは個人の考え方や好みで異なります。私の個人的な見解ですが、我が国の山の現状もかんがみ、出来るだけ国産材、特に杉を使ってほしいと考えております。杉は前述したように調湿等の諸能力に優れ、資源在庫としても豊富で、他の木材の材料と比べれば価格が安いのです。これを利用しない手は無いでしょう。

「無垢材を使用してもらったら、施工後、空いたり暴れたりしてトラブルになった」話をよく聞きます。木材を選ぶ場合、その木材が空いたり暴れたりしないために、乾燥の度合いが重要になります。内装材の場合、含水率は15~16%位以下からが目安といわれてます。含水率は低い方が良いに決まっていますが、その乾燥の仕方が問題です。含水率は、人工乾燥機に入れれば下がりますが、短時間に下げることによる反動で暴れたり割れたりすることがあります。

時間はかかりますが、天日で自然に徐々に乾燥させる天然乾燥をした材料が1番良いでしょう。含水率が多少高くても、短期間に人工乾燥させた含水率の低い木材よりも信頼性は高いと考えます。

信頼できる生産先の材料を選びましょう。どこで、どういう思いで生産し、その生産過程がわかるのが必要です。

最近、産地直送材は「価格が安い」といわれ利用されていますが、本来は、生産地・生産者・生産過程等が直接に見え、その目的や思いを直接理解し信頼できることが産直の意味あるところです